第99回EQMセミナー 『医薬品・医療機器工場の昆虫管理の基礎講座』

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EQMセミナー情報EQM Seminar Information

医薬品・医療機器対象

第99回EQMセミナー
『医薬品・医療機器工場の昆虫管理の基礎講座』
  医薬品工場では、平成12年の医薬発237号で「医薬品等の回収の基本的考え方」が通知されてから、生体由来の異物、つまり昆虫と毛髪管理が徹底して強化されてきました。医療機器工場でも、昨年度のGMP(QMS)改正を受けて、製品品質に影響を与える可能性のある作業環境の運営・管理の強化が進められています。また昆虫管理に関連する動きとして、今年5月から食品の残留農薬基準にポジティブリスト制度が導入されることが決まりました。農薬の規制の見直しが進んでおり、工場の昆虫管理においても殺虫剤に頼らない「レスケミカル」が重要な要素となってきています。
  昆虫の管理に関して、『これまでのやり方で本当に大丈夫なのか?』と、再構築を考えられている方も多いと思います。そのためには、まず昆虫管理の基本を押さえること、そして自社が主体となって運営する自主管理へ進めていくこと、これが重要な鍵となると考えます。レスケミカルを進める上でも、昆虫の基礎知識は欠かせません。
  『昆虫管理の基礎講座』は、現状の見直しや強化を検討されている方、新たに防虫担当者になられた方に最適なセミナーです。また今年度は、同じ生体由来異物である毛髪の管理についても、新たにセッションを設けました。毛髪の基礎知識や基本的な管理方法について解説します。

    医薬品・医薬品原薬工場・医療機器工場の防虫担当者
    これから昆虫管理を強化・再構築をしようとされている方
    毛髪管理の基本的な進め方を習得したいと考えられている方  ぜひ、ご参加下さい。

2006年4月18日(火):東京会場
本社常設セミナールーム(JR線・都営新宿線・東京メトロ丸の内線 新宿駅)
2006年4月21日(金):大阪会場

千里ライフサイエンスセンター(北大阪急行 千里中央駅) 

10:00~17:00
会費:¥35,000-

EQM セミナー スケジュールEQM Seminar Schedule

  時間 内容 講師
1 10:00~11:30 医薬品・医療機器工場の昆虫管理の進め方 谷    壽一
2 11:30~12:20 昆虫モニタリングの方法と解析~ 改善のフローと原因究明 ~ 國定 勝博(東京)
尾池 泰英(大阪)
3 13:20~14:10 毛髪管理の基礎~ 個人衛生と清掃 ~ 伊藤 壽康(東京)
岡本 美佐子(大阪)
4 13:20~14:10 工場内の昆虫の種類と生態 竹内 一樹(東京)
中川    禎(大阪)
5 13:20~14:10 昆虫の防除法~ 防虫の構造・物理的防除・化学的防除 ~ 伊藤 壽康(東京)
岡本 美佐子(大阪)

講演要旨Abstract Of Lecture

1)医薬品・医療機器工場の昆虫管理の進め方

  昆虫の管理は自主管理が基本である。まず、妥当性のある防虫計画を立てること。しかし防虫管理の計画が、モニタリングと殺虫剤散布だけであることもある。
  製造環境での昆虫管理は微生物の汚染源とならないことと、異物として混入しないように管理すること。そして管理されていることの証明ができることである。
  管理とは昆虫モニタリングのデータが生かされ、問題があったときに是正措置が取られ、その後予防措置が講じられて、記録が残っていることが重要である。
  人が動き、物が動き工場の環境が変化していき昆虫の状況も変化する。埃の堆積、清掃の状況、真菌の発生などで昆虫の動態が変化する。日常、週、月、年でどのような管理が必要なのか、項目の抽出と管理方法を決めていくことが大切である。昆虫管理の進め方の基本原則について紹介する。

2)昆虫モニタリングの方法と解析~ 改善のフローと原因究明 ~

  昆虫管理における重要なポイントは、モニタリングの結果から「いかにして素早くPDCAサイクルのフローを回し、継続的な改善を行うか」である。前提としては、まず妥当性のあるモニタリングの設計が重要であり、定期モニタリングの設計と問題発生時のモニタリングの設計基準が必要である。またモニタリング結果の「解析・評価」は、以降のアクションの方向性を決定付ける主要因であり、昆虫の種類ごとの生理・生態、各製造環境での発生特性を熟慮した「評価の基準」を設定しておくことが重要である。「種類別の改善のフロー」は、これまでの様々な問題発生事例も取り込んだこれらの基準に基づき構築される。
   昆虫モニタリングの実施方法、解析と評価の基準、対種別の改善のフローについて解説する。また特に重要なのは問題発生時の原因究明であり、その方法として実施する種々の調査方法についても説明する。

3)毛髪管理の基礎~ 個人衛生と清掃 ~

  毛髪は昆虫と異なり人体に由来する異物であり、作業者そのものが汚染源となる。このため、衛生教育の浸透の程度が製造環境における毛髪の負荷量に反映される。個人衛生の教育においても、脱毛のメカニズムを含めた毛髪の基礎知識を理解することで、行動規範や着衣基準などの意味付けが明確になる。また付着毛髪のモニタリングなどで現状を把握、監視することは、意識の深化と効果確認のために必要な項目である。
   一方、工程内の落下毛髪は、こうした個人衛生の徹底に加えて、適切な清掃方法が重要となる。工程内の人や物の動きと、落下毛髪の状況を把握しながら、効果的な清掃の方法や資材を選定していく必要がある。
   毛髪の基礎知識などの教育の要点と毛髪の調査方法、また毛髪管理の基本的な進め方について解説する。

4)工場内の昆虫の種類と生態

  このセッションでは各工場で発見される昆虫類の同定についてと、その生態を紹介する。
  昆虫類は多様性に富み様々な環境に適応して生活するが、工場の製造環境に生息する種類は多くても40種類程度であり、これを同定することができれば工場独自での問題への対応が可能になる。ここでは、昆虫の種類を調べる上での基本的知識を得るために、昆虫同定の基礎を説明するとともに、主要な昆虫類の同定のポイントを紹介する。また昆虫の種類ごとに、それが生息する原因すなわち昆虫類の環境指標性について述べる。

5)昆虫の防除法 ~防虫の構造・物理的防除・化学的防除~

  外部から侵入する昆虫に対しては、出入口設備や扉の構造、光源管理(カラーコントロール)、建物外周の構造などを、多段バリアとして構築することにより、製造エリアへの負荷を低減させる必要がある。また内部発生する昆虫に対しては、建材の材質や継目の仕舞、これらの建築時の施工状態、機器類の設置状況などが問題で生息域(ハビタット)を形成している場合が多い。適用する設備などのリストと選択の指針、建材や施工方法などの仕様を明確にして、防虫のための構造基準を構築する必要がある。
  化学的防除については、コンタミネーション防止のため、殺虫剤の使用は最小限とする基本姿勢が重要である(レスケミカル)。殺虫剤の使用基準を明確にするとともに、使用後の残留の確認方法も含めて整備しておく必要がある。
  問題となる昆虫の防除・制御を進めるに際しての、基準作りと実際の適用方法について説明する。


注* 当社と同業種、コンサルタント・個人の方のご参加はお断りしておりますので、予めご了承ください。