よくあるご質問

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HACCP関連

Q.

HACCPのCCPってなんですか?

A.

  CP(品質の管理点)とCCP(重要管理点、必須管理点)の簡単な見分け方は、カナダでは、この両者の識別を「その管理点が制御できなかった場合、健康に害を及ぼしますか。」という観点でみて、イエスであればCCP、ノーであればCPとしています。実際にはCCP決定判定図(系統樹)で決定されますが、CCPは従業員が制御可能な危害でなければなりません。このようにHACCPシステムでは健康に被害を及ぼすもの、また及ぼす恐れのあるもののみCCPとして管理し、それ以外はGMPでCPとしてカバーします。つまりGMPで整備された中から、人体に影響を与える危害要因をどの工程で制御するのかを判定し選び出されたものがCCPとして認識され、HACCPシステムによってより厳密に監視されるのです。GMPの整備が進むほど危害が軽減されて各CPが管理された状況になり、HACCPプランがより確実なものになるといえます。
   工場では測定可能なタイプ1のCCPが多いのですが、アレルゲンの制御などでは受入、製造計画、インスペクションなどがCCPとしてあげられており、これらはタイプ2のCCPであり、リーテールでも温度管理と手洗いが重要な管理点と認識されています。

Q.

PRPってなんですか?

A.

  カナダのPRPの場合は、カナダ農務省の食品安全強化プログラム(以下FSEPという)で、「安全な食品を製造するのに適した製造環境条件を達成するための必要条件」をPRPと定義しています。つまりPRPは、食品工場においてその必要条件をコントロ−ルしている普遍的なステップまたは手順のことで、モニタリングや文書化も必要とし ており、科学的な根拠に基づいてシステマティックに実施されることが要求しています。これはGMPを指しており、HACCP導入の前提としたものです。GMPがHACCPシステム導入の前提条件であるという意味。

1. 製造環境条件からの製品への負荷を減少させる
2.不確定要素の大きい環境条件からの汚染を排除することによりHACCPプランが簡素化される
3.衛生標準作業手順書(以下SSOPという)などによる文書化を含めた管理手法を習慣化することがCCPの管理手法に適応できる

   それゆえ、施設においてHACCPを実施する時の第一ステップは、すべてのGMPの項目が遵守されており、そして必要なコントロールや文書化(例えば、プロ グラムの記述、個々の責任の所在、モニタリングの記録)が実施されているかを確認することから始まります。つまり現在のGMPの整備状態が下記の3項目を 満たしているかを評価してから、HACCPシステムの導入を進めるべきとしています。

1)必要最小限の要求項目に適合しているか
2)プログラムの有効性がモニターされているか
3)必要な記録が適正に維持されているか

   FSEP ではPRPの重要性について次のように述べています。「PRPの重要性は誇張し過ぎることはない。PRPはHACCPプランの基礎であり、適切かつ効果的なもの でなくてはならない。もしPPの一部が適切にコントロ−ルされていない場合は、HACCPプランのもとで追加のCCPとして認識され、モニタリングされ、 維持管理されなければならない。つまり、効果的なPRPによりHACCPプランは簡略化されるとともに、HACCPプランの完璧さが維持され、製品の安全性 は保証される。

Q.

HACCP経営者の導入時にするべきことは?

A.

  コーディネーターの指名とコミットメントです。
   HACCP導入の鍵は、経営者の意識変革・コーディネーターの資質・全従業員の参画であり、経営者は全面的関与(Participation)するだけにとどまらず全力投球(Commitment)することが必要であるといわれています。
   現代の企業にとって、品質経営は避けることのできない課題です。
   品質経営に失敗すると計り知れない損失を被ります。GMP(PP)を整備してHACCPシステムを導入し実施運用することにより品質が保証され、品質システムの国際規格と整合性を持たせれば、ISO9001取得も容易となり品質保証体制の確立ができます。
   まずは、経営者がHACCPシステム導入に全力投球することを表明し、コーディネーターを指名してチームを編成し、品質保証に関する権限を与えることから始めなくてはなりません。
   最初に投資が必要となるかもしれませんが、品質を上げればコストが下がり、直接利益を生み出すことになります。

経営者は次の5つを進める必要があると述べていました。
  1).HACCP導入・定着へ全力投球する(コミットメント) 品質方針、品質目標
  2).全従業員に徹底する
  3).経営資源を投入する
  4).進捗状況をチェックする
  5).費用有効度を算定する

   HACCPシステムは工程中の品質保証だけで終わるものではなく、食品原材料の生産段階と流通段階での品質保証についても、それぞれの経営者に対してコミットメントを求めることも重要とします。

Q.

HACCP12ステップとは(FAO/WHO CAC 「HACCP方式の適用に関するガイドライン」)

A.

  ・ステップ1.HACCPチームの編成
  ・ステップ2.製品についての記述
  ・ステップ3.意図する用途の確認
  ・ステップ4.フローダイヤグラムの作成
  ・ステップ5.フローダイヤグラムの現場検証
  ・ステップ6.危害分析の実施(HACCP原則1)
  ・ステップ7. CCPの決定(HACCP原則2)
  ・ステップ8.許容限界の設定(HACCP原則3)
  ・ステップ9. CCPのモニタリング(監視方式)の設定(HACCP原則4)
  ・ステップ10.是正措置の設定(HACCP原則5)
  ・ステップ11.検証方法の設定(HACCP原則6)
  ・ステップ12.記録保存方式の設定(HACCP原則7)

  HACCPには7原則がありますが、HACCPシステムを導入する時に12のステップが提唱されています。この中で、最も重要なのはステップ1~5です。つまり、ハザード分析を行う前に、製品の特性(対象消費者、製品の殺菌工程の有無、食物アレルゲン管理の必要など)を把握し、製造工程図(フローダイヤグラム)を確認する作業です。
  危害分析をする前に前提条件であるPRP項目が管理されていることです。多くの食品事故はPRP項目の不備によるものです。

防虫・防鼠関連

Q.

「昆虫が管理されている」とはどういうことですか?

A.

『万が一昆虫混入クレームが発生した場合に、①混入の原因と工程が特定でき、②混入防止のための措置が適切に講じられておりGMP上の問題が認められないこと、を説明できる管理体制』、と言い換えることができます。
このためには、昆虫管理の手順書と管理基準があり、昆虫管理のPDCAサイクルが運用されて、実施した対策や是正措置・予防措置などの管理記録が残っていること、が必要です。
PDCAサイクルが運用されるとは、①現状を把握(調査と解析)し、②その結果を管理基準に照らして、また製品汚染のリスクの面で評価し、③評価に基づき対策を計画し、④これを実行し、⑤その効果判定を行い、⑥これらの一連の結果を元に仕組みを修正する、という体系的な活動が実施されていることを示します。

Q.

GMP等で昆虫の管理基準のようなものは定められているのですか?

A.

GMP等で昆虫の管理基準を、数値で定めているものはありません。しかし、GMPの中で昆虫管理に関する要件を規定しているものは多くあります。WHOのGMPを例にとると、構造と運用の両面で規定されています。構造の面では、11.6に『構造設備は昆虫その他の動物の侵入を極力抑えることができるように設計、設備されていること。』とあり、運用の面では、14.46の『作業標準手順を適切に定め関連作業記録と得られた結論』を必要とする項目の中に『Pest Control(鼠族昆虫管理)』が含まれています。製品の汚染防止のために何らかの昆虫管理をプログラムとして進めるのであれば、自主基準であっても妥当性のある管理基準値が必要になるでしょう。

Q.

捕獲指数とは何ですか?

A.

捕獲指数とは、該当する範囲の区画で捕獲された昆虫の捕獲数を、1トラップ・1日当たりの捕獲数に指数化した値です。その区画の捕獲昆虫の多少を平均値化することにより、推定される昆虫の生息密度を他の区画と比較するために行います。調査によって、トラップのサンプリングサイズや調査期間(日数)が異なることもあるので、その比較の場合にも有効です。捕獲指数は、ゾーン(清浄度区分)別・エリア別・部屋別などで算出し、比較検討します。計算式は下記の例を参照して下さい。

捕獲指数=1トラップ・1日当りの捕獲数=捕獲総数/(調査日数・トラップ数)
例:トラップ100枚を7日間設置して200個体の昆虫が捕獲された場合
200(個体)÷ 7(日間)÷ 100(枚)= 0.286
よって、捕獲指数は0.286(個体/1トラップ・1日)となる。

Q.

管理基準値を逸脱しても混入は発生しない。それほど厳重管理しなくても良いのでは?

A.

昆虫の管理基準値は、該当する製造環境(清浄度区分)において、通常と比較して異常の兆候と判断される捕獲水準を示しています。したがって、管理基準値を逸脱してもそれが直ちに製品への混入を意味するわけではないのはその通りです。しかしここで注意しなければならないのは、「昆虫の生息数はある一点を超えると等比級数的に増殖する」ということです。昆虫のライフサイクル(世代時間)は、環境条件がよければ10~20日間と非常に短く、種類にもよりますが通常1雌が100卵程度は産卵するため、ある水準を超えると急激に増加します。大切なのは、この大量増殖の過程に移行する前の段階でこの兆候を察知して、増殖を未然に防ぐということであり、その見極めの基準が昆虫の管理基準値となるわけです。したがって、管理基準値を常時クリアすることが、まさに昆虫の混入の危険性を回避することにつながるわけです。

Q.

昆虫が増えてきたので殺虫剤を使用しようと思うのですが?

A.

基本的には光源管理を含めた物理的な対策と、清掃・洗浄や運 用面での改善などのハビタット管理を中心に実施すべきですが、異常発生時の緊急対応として殺虫剤を使用しなければならない場合もあります。殺虫剤を使用す る場合には、コンタミネーションを防止するため、殺虫剤の種類、適用範囲、散布後の処理、残留試験などの基準を設けた上で、クリーンルーム内では特に慎重 に使用する必要があります。 殺虫剤成分を除去するためには洗浄殺菌の実施が必要です。また殺虫剤成分が製品や製造環境中に影響を及ぼしていないか確認す るためにはガスクロマトグラフ質量分析(GC-MS)法で残留試験を行うことができます。また、殺虫剤を使用する際には記録類を整備する必要があります。

Q.

昆虫の発生しにくい適切な内装材について教えてください。

A.

昆虫管理上でこれが決定打になる、という内装材はありません。 床材、壁材、排水溝の材質など、昆虫の発生につながる汚れの付着、塵埃の堆積ができにくく、清掃/洗浄が容易な平滑なもの、つまりサニタリー性の高いものが良いといえます。「昆虫が発生しにくい=昆虫が発生する要因ができにくい」と考えるとよいでしょう。しかし、どれだけよいハードでも日々の管理をしなければ汚れが堆積して昆虫類の発生を招きます。ハードとソフトの両面が大切です。
材質とともに重要なのが施工方法です。クリーンルームの壁で、段差ができるのを避けるためにベニヤ板などで裏打ちされていたり、ケイカル板の裏に石膏ボードが施工されていますが、これらが吸湿してカビの発生、食菌性昆虫の発生につながるケースがあります。しかし、石膏ボードでも乾燥していれば全く問題は起こりません。一方で水漏れなどすると、ほとんどの素材の表面の有機物で真菌が発生します。食菌性昆虫の場合は、いかに湿度をコントロールするかが重要です。この詳細は防虫構造機能診断で評価することができます。

毛髪管理関連

Q.

毛髪の異物クレームが発生しました。人間の毛髪でしょうか?

A.

毛髪はそれぞれに特有の小皮紋理や毛根などの形態を観察し、標本と比較することで動物毛であるのか人毛であるのかを同定することができます。また、形状の観察や毛根のカタラーゼ活性試験を行うことで、混入経路の推定に有効な情報を得られる可能性があります。毛根部にはDNAも含まれているため、十分なDNA量が得られれば個人識別や獣種の判定に利用できる可能性があります。