第101回EQMセミナー 『昆虫管理と異物混入防止対策の基礎講座』

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EQMセミナー情報EQM Seminar Information

食品工場・食品流通業対象

第101回EQMセミナー
『昆虫管理と異物混入防止対策の基礎講座』

  食品の安全性を脅かす事件が多く発生し、食の安全・安心を求める消費者意識は非常に高まっています。高度で厳密な品質保証が求められる中、昆虫や毛髪をはじめとした異物の混入は今なお消費者クレームの大きな部分を占めており、食品製造業者にとって大きな課題といえます。
  昆虫管理に関しては、『これまでのやり方で本当に大丈夫なのか?』と、再構築を考えられている方も多いと思います。そのためには、まず昆虫管理の基本を押さえること、そして業者任せではなく自社が主体となって運営する自主管理へ進めていくこと、これが重要な鍵になると考えます。残留農薬のポジティブリスト制度が導入され、殺虫剤を多用した昆虫管理も見直しが必要であり、レスケミカルによる昆虫の制御を進めていく上でも昆虫の基礎知識は欠かせません。
  人に由来する毛髪、製造工程や環境に由来する異物については、個人衛生や5SなどのGMPの基盤づくりが重要です。毛髪や異物の基礎知識と、混入が発生する主要な機構を理解することが、混入クレームを制御するための第一歩となります。
  『昆虫管理と異物混入防止対策の基礎講座』は、現状の管理方法の見直しや強化を検討されている方、新たに昆虫管理や異物対策の担当者になられた方に最適なセミナーです。

食品工場の昆虫管理や異物対策の担当者の方
これから昆虫管理や毛髪管理を強化・再構築をしようとされている方 ぜひ、ご参加下さい。

2006年7月11日(火):東京会場
本社常設セミナールーム(JR線・都営新宿線・東京メトロ丸の内線 新宿駅)
2006年7月14日(金):大阪会場
千里ライフサイエンスセンター(北大阪急行 千里中央駅)

10:00~17:00
会費:¥30,000-

EQM セミナー スケジュールEQM Seminar Schedule

  時間 内容 講師
1 10:00~11:20 食品工場における昆虫管理の進め方 谷    壽一
2 11:20~12:20 食品工場で問題となる昆虫類の種類と生態 竹内 一樹(東京)
中川    禎(大阪)
3 13:20~14:35 昆虫の防除法 ~ 防虫の構造・物理的防除・化学的防除 ~ 國定 勝博(東京)
尾池 泰英(大阪)
4 14:35~15:35 毛髪対策の基礎と管理方法 伊藤 壽康
5 15:50~16:50 異物混入防止と5S・製造環境管理 伊藤 壽康

講演要旨Abstract Of Lecture

1)食品工場における昆虫管理の進め方

  昆虫の管理は自主管理が基本である。まず、妥当性のある防虫計画を立てること。しかし防虫管理の計画が、モニタリングと殺虫剤散布だけということもある。
製造環境での昆虫管理は微生物の汚染源とならないことと、異物として混入しないように管理すること。そして管理されていることの証明ができることである。
管理とは昆虫モニタリングのデータが生かされ、問題があったときに是正措置が取られ、その後予防措置が講じられて、記録が残っていることが重要である。PDCAサイクルによる継続的な改善が不可欠である。
人が動き、物が動き工場の環境が変化していき昆虫の状況も変化する。埃の堆積、清掃や洗浄の状況、真菌の発生などで昆虫の動態が変化する。日常、週、月、年でどのような管理が必要なのか、項目の抽出と管理方法を決めていくことが大切である。昆虫管理の進め方の基本原則について紹介する。

2)食品工場で問題となる昆虫類の種類と生態

  このセッションでは食品工場で発見される昆虫類の同定についてと、その生態を紹介する。
    昆虫類は多様性に富み様々な環境に適応して生活するが、工場の製造環境に生息する種類は多くても40種類程度であり、これを同定することができれば工場独自での問題への対応が可能になる。ここでは、昆虫類の種類を調べる上での基本的知識を得るために、昆虫同定の基礎を説明するとともに、主要な昆虫類の同定のポイントを紹介する。
また昆虫類の種類ごとに、それらが生息する原因、すなわち環境指標性について述べる。

3)昆虫の防除法 ~ 防虫の構造・物理的防除・化学的防除 ~

  外部からの侵入昆虫に対しては、出入口設備や扉の構造、光源のカラーコントロール、建物外周の構造などを、多段バリアとして構築し、製造エリアへの負荷を低減させる必要がある。また内部発生する昆虫に対しては、建材の材質や継目の仕上げ、各種の設備や製造機器類の構造や設置状況などが問題で生息域(ハビタット)を形成している場合が多い。これらを合わせて、防虫のための構造基準として整備する必要がある。
  日常的な対策としては、昆虫の発生を抑制するための「洗浄」が非常に重要である。主に問題となるのは機器周囲で発生する微小な内部発生昆虫であり、発生箇所や要因を絞り込んで、日常あるいは定期的な洗浄で発生を制御していくことが不可欠である。
  化学的防除については、コンタミネーション防止のため、殺虫剤の使用は最小限とする基本姿勢が重要である(レスケミカル)。殺虫剤の使用基準を明確にするとともに、使用後の残留の確認方法も含めて整備しておく必要がある。昆虫の防除のための、基準作りと実際の適用方法について事例を含めて説明する。

4)毛髪対策の基礎と管理方法

  毛髪は昆虫と異なり人体に由来する異物であり、作業者そのものが汚染源となる。このため、衛生教育の浸透の程度が製造環境における毛髪の負荷量に反映される。個人衛生の教育においても、脱毛のメカニズムを含めた毛髪の基礎知識を理解することで、行動規範や着衣基準などの意味付けが明確になる。また付着毛髪のモニタリングなどで現状を把握、監視することは、意識の深化と効果確認のために必要な項目である。
  一方、工程内での混入防止については、こうした個人衛生の徹底に加えて、動線管理や包材の管理方法なども重要な要素となる。工程内の人や物の動きと、実際の混入の発生状況をつき合わせて、要因を絞り込んで対処していく必要がある。
  毛髪の基礎知識などの教育の要点と毛髪の調査方法、また混入防止対策の基本的な進め方について解説する。

5)異物混入防止と5S・製造環境管理

  異物としては、昆虫や毛髪以外にも、金属やガラス、夾雑物など様々なものが問題となる。これらのうち、混入の原因が製造ラインの内部やすぐ周囲の環境に存在する事例は多い。昆虫対策も含めて、製造ラインやその周辺の5Sからはじまって、製造環境管理の仕組みを構築していくことが重要である。
  5Sは周知の手法であるが、異物対策としては製品への混入の危険性の視点から、製造ライン周囲を中心に進めていくことが重要である。製造機器類や周囲の環境管理も、昆虫の発生や汚れの溜まる箇所を絞り込んで、これをもとに日常洗浄と定期洗浄の仕様の基礎を作っていく。定着させるためには、実施項目をタイムリー(T)、デイリー(D)、ウィークリー(W)、マンスリー(M)に区別し、汚れがいつまでも蓄積しない仕組み作りを行うことが必要である。異物混入を防止していく上で重要となる、5Sや洗浄、製造環境管理のポイントと仕組みづくりについて解説する。


注* 当社と同業種、コンサルタント・個人の方のご参加はお断りしておりますので、予めご了承ください。