第110回EQMセミナー 『昆虫管理の基礎講座 -生態学的アプローチによるレスケミカルの実現-』

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EQMセミナー情報EQM Seminar Information

食品工場・食品流通対象

第110回EQMセミナー
『昆虫管理の基礎講座 -生態学的アプローチによるレスケミカルの実現-』

  食品の安全性を脅かす事件が多く発生し、食の安全・安心を求める消費者意識は非常に高まっています。高度で厳密な品質保証が求められる中、昆虫や毛髪をはじめとした異物の混入は今なお消費者クレームの大きな部分を占めており、食品製造業者にとって大きな課題といえます。一方で、昨年導入されたポジティブリスト制度は、工場の昆虫管理においても「レスケミカル」を進めていく必要性を示しています。工場で使用される「防疫用殺虫剤」の有効成分はほとんどが農薬と同じであり、工場での汚染が製品の残留農薬に影響を及ぼす危険性について、細心の注意をもって臨んでいく必要があると考えます。
  こうした中で、昆虫管理は『これまでのやり方で本当に大丈夫なのか?』と、再構築を考えられている方も多いと思います。特に殺虫剤に多くを頼る方法は、早急な見直しが求められているといえます。再構築のためには、まず昆虫管理の基本を押さえること、そして業者任せではなく自社が主体となって運営する自主管理へ進めていくことが重要な鍵になると考えます。また「レスケミカル」のためには、問題となる昆虫の生態学的な情報を基礎として、清掃・洗浄を中心とした管理プログラムを構築していく必要があります。
  『昆虫管理の基礎講座 -生態学的アプローチによるレスケミカルの実現-』は、現状の管理方法の見直しや強化を検討されている方、新たに昆虫管理や異物対策の担当者になられた方、殺虫剤に頼らない防除を確立しようとされている方々に最適なセミナーです。

  昆虫管理や異物対策の担当者の方、殺虫剤の使用を再検討されている方これから昆虫管理を強化・再構築をしようとされている方、ぜひ、ご参加下さい。
 
2007年4月10日(火):東京会場
2007年4月13日(金):大阪会場

10:00~17:00
会費:¥30,000-

EQM セミナー スケジュールEQM Seminar Schedule

  時間 内容 講師
1 10:00~11:15 食品工場における昆虫管理の基本的な考え方
~IPMと昆虫動態バリデーション~
谷    壽一
2 11:15~12:30 ポジティブリスト制度と工場で使用される防疫用殺虫剤の問題点 ~海外の殺虫剤規制の動向を踏まえて~ 伊藤 壽康
3 13:30~15:15 食品工場で問題となる昆虫類の種類と生態
~生態学的防除の基礎~
國定 勝博(東京)
中川    禎(大阪)
4 15:30~17:00 清掃・洗浄によるレスケミカルの実現 辰口    誠(東京)
津田 訓範(大阪)

講演要旨Abstract Of Lecture

1) 食品工場における昆虫管理の基本的な考え方~IPMと昆虫動態バリデーション~

  昆虫管理が最も進んでいるのは農業の分野で総合的害虫管理(IPM)と呼ばれ、その定義は(FAO,1965年)「あらゆる適切な技術を相互に矛盾しない形で使用し、経済的被害を生じるレベル以下に害虫個体群を減少させ、かつその低いレベルに維持するための害虫管理システムである。」と述べられている。
  総合的害虫管理における重要な概念として、①複数の防除法の合理的統合、②経済的被害許容水準(EIL)、③害虫個体群管理システムが挙げられる。
  現在では農薬の残留などの問題から減農薬や合成殺虫剤を使用しない有機農業、また、北米などでは遺伝子組み換えによる耐虫性品種のとうもろこし、大豆、キャノーラ、綿花などが作付けされ農薬の使用が減少している。
  総合的害虫管理(IPM)は工場内の昆虫管理は異なる点もあるが共通する事項も多い。防除において重要なことは生態学的見地からの防除計画の立案であり、工場での昆虫管理の概念である「昆虫動態バリデーション」について述べたい。

2)ポジティブリスト制度と工場で使用される防疫用殺虫剤の問題点
~海外の殺虫剤規制の動向を踏まえて~

  海外では、近年、農薬の健康リスクに関する広汎かつ精力的な再評価と残留基準の見直し、これらに基づく規制の強化が進んでいる。例えばアメリカでは、1996年に施行された食品品質保護法に基づき、クロルピリフォスやダイアジノンなどの有機リン剤に対して、限定用途以外での使用(製造・販売も含めて)を禁止する排除計画を進めている。重要なことは、海外では、農業用も防疫用も家庭用もまとめて、健康リスクとして総合的に評価していることである。
  日本で導入されるポジティブリスト制は、加工食品も含む全ての食品が対象とされたが、現段階では農作物からの農薬の残留を中心に検討されている。しかし現実には、工場内で昆虫防除に使用される「防疫用殺虫剤」はそのほとんどが農薬と同じ化学物質であり、工場での汚染が製品の残留農薬に影響を及ぼす危険性について、細心の注意をもって臨んでいく必要がある。ポジティブリスト制度の下で問題となる工場で使用される防疫用殺虫剤について、海外の殺虫剤規制の動向を踏まえながら述べたい。

3)食品工場で問題となる昆虫類の種類と生態~生態学的防除の基礎~

  食品工場で問題となる昆虫類は、工場内部で発生する種類と屋外で発生したものが工場内に侵入する種類とに大きく分けられる。実際に清潔区域やライン周辺で捕獲される昆虫は内部で発生する種類が多いが、その主な原因となるのは機器類の洗浄不良、結露・蒸気などによるカビの発生、清掃不足による飛散粉の堆積などである。
レスケミカルで昆虫管理を進めていく際に重要な鍵となるのは、原因究明のための調査である。対策を実施する前に原因究明のための調査を実施することで、具体的かつ効果的な対策の立案につながる。
  本セッションでは、食品工場で問題となる主要な昆虫の生態や各々の発生特性、そうした生態学的な側面を基盤にした原因究明のための調査方法や制御方法について、具体的な事例を含めて解説する。

4)清掃・洗浄によるレスケミカルの実現

   カビや残渣を餌とする有翅チャタテ類やヒメマキムシ科、排水系統から発生するチョウバエ科、堆積粉から発生するメイガ類やシバンムシ科等の貯穀害虫など、工場内で発生し問題となる昆虫類の多くは5Sの不備により発生する。殺虫剤による防除はこれらの昆虫類を一時的に減少させることができても、その発生要因となるカビや残渣を除去しなければすぐ元の生息数に戻ってしまう。発生源となる箇所を明らかにして、清掃・洗浄を中心に対処する必要があるが、特に重要となるのはそれらの組み立てである。製造機器の構造、環境の状態、製品特性を考慮して残渣等が生じる要因を明確にし、適切な洗浄工程の設計や洗剤と資材の選定を行い、これを定期的な洗浄計画に落とし込む必要がある。
  本セッションでは、清掃・洗浄を中心とした昆虫の制御方法について、工場内での解決事例と併せて解説する。


注* 当社と同業種、コンサルタント・個人の方のご参加はお断りしておりますので、予めご了承ください。