第128回EQMセミナー 『生体由来異物の分析手法』

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EQMセミナー情報EQM Seminar Information

食品工場・食品流通対象

第128回EQMセミナー
生体由来異物の分析手法

   昆虫や毛髪などの生体由来物は、製品に混入すると重大なクレームとなり、時として企業にとって回収という大きなリスクをもたらす可能性があります。混入が発生した場合、その『原因と工程が特定できること(平成12年医薬発237号「医薬品等の回収について」)』が、回収を回避するために必要な要件となります。
  異物混入の原因を究明するための最大の情報源は、「混入した異物とクレーム品そのもの」ですが、この取扱いに不備があると元来得られるはずの情報も入手できなくなります。特に昆虫は能動的に活動する生物体であり、その生理・生態を熟慮した取扱いと分析方法により、得られる情報の精度が左右されます。
  本セミナーでは、生体由来異物に関する各種の分析手法を解説するとともに、実際の発生事例を想定した「異物分析のケーススタディ」を通して、混入原因究明のための実用的な分析の手順を習得します。


2008年9月17日(水):東京会場
本社常設セミナールーム( JR線・都営新宿線・東京メトロ丸の内線 新宿駅 )
2008年9月19日(金):大阪会場
千里ライフサイエンスセンター(北大阪急行 千里中央駅)


時間:10:00~16:45
会費:¥35,000-

EQM セミナー スケジュールEQM Seminar Schedule

  時間 内容 講師
1 10:00~11:00 工場における生体由来異物の管理体制 谷    壽一
2 11:00~12:00
13:00~14:15
昆虫異物の分析手法
~分析方法と異物検体の取扱いの手順~
伊藤 壽康(東京)
尾池 泰英(大阪)
3 14:15~15:15 毛髪異物・その他の異物の分析手法 伊藤 壽康(東京)
尾池 泰英(大阪)
4 15:30~16:45 混入要因の特定のための判断基準
~生体由来異物分析のケーススタディーとチャレンジテストの設計~
伊藤 壽康(東京)
岡本 美佐子(大阪)

講演要旨Abstract Of Lecture

1)工場における生体由来異物の管理体制

   生体異物混入のクレームが発生した時、その製品が製造された環境や状況がどうであったか、つまり、昆虫・毛髪が管理されていたかを追跡する必要がある。しかし、現状では月1回のモニタリングと防除記録のみのことが多い。これでは管理されている環境であるといえるだろうか。管理されていることを裏付けるためにはモニタリングから改善へのPDCAフローが確立しており、改善が確実に実施され、そのアクションの記録が残されていることが大切である。また、この一連の流れの手順書を整備することも必要である。このモニタリングも月1回だけでなく日々確認することで管理している状態を作り上げていくことができる。これら工場での管理体制と異物からの情報の両者から原因と工程を推察していくことができる。ここでは工場での昆虫・毛髪等の生体由来物の管理体制について述べる。

2)昆虫異物の分析手法~分析方法と異物検体の取扱いの手順~

   昆虫異物の分析を進めるにあたって重要なことは、「昆虫の異物」としての特性をよく認識することである。昆虫は他の異物とは異なり、能動的に活動する動物であり、種類によっても生理・生態、行動様式や生息場所まで異なる。まず種類を同定することが最低限必要な情報である。また虫体の保存状態や混入の状態からは、混入時の状況に関する情報が得られ、虫体を取り巻く製品や包装には、昆虫の生息していた痕跡が残っている可能性がある。いずれも、昆虫の生理・生態などの情報に基づいた確認すべきポイントが存在する。昆虫異物の事例なども含めて、分析に際して重要となるこれらの確認すべき項目と、それにより引き出せる情報について説明する。
昆虫異物の分析では、試薬や機器を用いた各種の試験も有益な情報をもたらす。カタラーゼ活性試験等、試験の実施方法と得られる情報を紹介するとともに、実演や実習などを通して試験方法を体験する。
  こうした分析方法を過誤なく実施するためには、クレーム発生段階から分析の実施に至るまでの昆虫異物とそのクレーム品の取り扱いについても、遵守すべき事項が非常に多い。このために必要となる「異物検体の取り扱いの手順」についても説明する。

3)毛髪異物・その他の異物の分析手法

   毛髪やその他の異物に関して、混入原因の究明のために実施すべき各種の分析手法について説明する。
  毛髪、あるいは毛様異物の場合、まず毛髪なのか、そうではなく繊維の類なのかの判断が必要になる。また毛髪であっても、人毛か動物毛か識別しなければならない。これらは主に表面の形態や内部の形質に基づいて分析される。また毛根には、酵素やDNAが含まれており、これらも分析に用いることができる。その他の異物では、各種の金属や石などの鉱物、製品の変質物や夾雑物、ゴムや樹脂類など、様々な異物が存在する。多くの場合、外観の拡大観察と分析機器類による成分の分析が、異物の同定の鍵となる。これらの分析方法と、分析のために必要な資料や情報等について解説する。

4)混入要因の特定のための判断基準
~生体由来異物分析のケーススタディーとチャレンジテストの設計~

   生体由来異物分析の目的は、不具合発生の原因と工程を特定するための情報を可能な限り科学的根拠をもって得ることである。製造工程中か、物流保管及び移動期間中か、店頭陳列時か、あるいは消費者の家庭で混入したのかなどを得られる情報から判断する必要がある。生体由来物混入時の回収の判断のためには、混入工程を明らかにすることが不可欠である。また、原因が明らかであれば再発防止措置のアクションをとることができる。
  ここでは、一連の分析手順、分析手法を基とし、混入要因を特定するための考察の流れについて述べる。また、食品や医薬品などに生体由来物が混入する様々なケースを想定し、仮説の設定から分析結果からの判断のフローチャートを紹介するとともに、混入工程推定のためのチャレンジテストの設計例について述べる。


注* 当社と同業種、コンサルタント・個人の方のご参加はお断りしておりますので、予めご了承ください。