第141回EQMセミナー 『クリーンルームにおける製造環境管理の基礎』

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EQMセミナー情報EQM Seminar Information

医薬品・医療機器・食品工場・食品流通対象

第141回EQMセミナー
『クリーンルームにおける製造環境管理の基礎』

   医薬品/医療機器の製造は「微生物と塵埃」の管理が要求されるクリーンルーム内で行われます。内部は清浄な空気で管理されますが、「人/物の出入り」「原材料や用水の飛散」などにより汚染が蓄積することは避けられません。これらを放置することは「施設や設備の劣化」「有機物の堆積による昆虫類発生」「環境微生物の定着」など慢性的な環境負荷へと繋がります。
  クリーンルームにおいて環境管理を遂行するためには、対象を管理プログラムとして構築、運用~検証していくことがポイントになります。特に環境面に関しては「清浄化及び消毒」「環境微生物管理」「昆虫類管理」「従業員教育訓練」の4要素が大きな柱として挙げられます。これらの要素は密接に関連しているため、単独で管理を進めるだけでは不十分です。

  今回は最も重要かつ基本プログラムである「環境微生物管理プログラム(清浄化及び消毒と環境監視測定)」「昆虫類管理プログラム」の2題を中心としてGMPやガイドラインを読み解き、製造環境管理プログラム構築の基礎について実際の運用事例を含めて解説致します。

EQM セミナー スケジュールEQM Seminar Schedule

  時間 内容 講師
1 13:00~13:40 クリーンルームにおける製造環境管理とは 小山 和博
2 13:40~14:20 清浄化及び消毒プログラムの基礎
3 14:30~15:10 環境微生物監視測定プログラムと考察事例
4 15:10~16:10 昆虫類管理プログラムの作成と運用事例 尾池 泰英
5 16:15~16:45 総括 製造環境管理プログラムの考え方 小山 和博
6 16:45~ 質疑応答  

講演要旨Abstract Of Lecture

1)クリーンルームにおける製造環境管理とは

   クリーンルームにおける製造環境管理は、「清浄化及び消毒」「環境微生物管理」「昆虫類管理」「従業員教育訓練」の4要素が大きな柱となります。各要素は管理プログラムとして構築、運用~検証を繰り返すことにより環境管理の側面から複合的に考察していくことが重要です。しかしこれらの要素は異なる部門により担当、実施される事が多く、有機的な考察がはかどらないことも事実です。
  このセッションでは、製造環境管理のために必要なプログラムについて「国内外のGMP記載」「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」を中心として各プログラムの位置付けと関連性、運用のポイントについて解説します。

2)清浄化及び消毒プログラムの基礎

   クリーンルームの「清浄化及び消毒」は全ての管理の始まりであり、製造環境管理に対応する因子を直接的に除去することができる重要な項目です。エリア内では目に見える汚れが少ないため、従事者による作業目的と工程の十分な理解、適切な用具類の選定と維持管理、作業技術の習熟がポイントになります。特に作業効果を直ちに視認することが難しいことから、ひとつひとつの作業について基本動作を確実に行うことが求められます。
  清浄化及び消毒に関するプログラム立案に必要な項目、微生物制御を目的として汚染の拡散を最小限に抑えた基本動作を中心に解説します。なお、資料は基本ポイントを明確に、動画や写真を入れて分かり易くまとめてございます。

3)環境微生物監視測定プログラムと考察事例

   環境微生物監視測定により行われる微生物モニタリングは、対象エリアの汚染度を把握するために重要な項目です。モニタリング結果は「要求される基準の管理」だけでなく、環境管理の状態の指標として「環境の悪化を事前に把握」、「清浄化・消毒作業の継続的評価」のために考察を行うことが必要です。このためには定点の定期測定に加え、潜在的微生物負荷量を対象とした測定を組み合わせることが有用になります。また、検出菌株の分類/同定試験、傾向分析を行うことにより、クリーンルーム内の環境を適正に維持していく上での情報源を引き出し、考察しなければなりません。
  環境微生物監視測定プログラムとして、環境管理の状況を検証するためのモニタリング設計法について解説を行います。また、グレード別の微生物検出比率、クラスター解析などの事例による傾向分析と管理プログラムへのフィードバックの事例を紹介します。

4)昆虫類管理プログラムの作成と運用事例

   昆虫類管理プログラムについては、製造環境管理の中で単独で実施されていることが多い項目です。しかし、クリーンルームで捕獲される昆虫類については、「塵埃中の有機物」や「真菌」を餌とする種類がほとんどであり、それらを餌とする昆虫類が捕獲された場合には清浄化計画や施設・設備の気密性が適切であるかどうかの確認が必要となります。したがって、昆虫類のモニタリングについても「昆虫類の生息状況の把握」だけを目的とせず、「生息原因の把握」まで行う必要があります。そのためには捕獲個所付近においての汚染度や施設・設備の気密性を調べるために後追い調査を実施することが求められます。
  このセッションでは昆虫類管理プログラムを作成するにあたって必要な項目について解説を致します。また、実際の運用事例や具体的な解決事例についても紹介します。


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