医薬品・医療機器・包材・化粧品工場対象
医薬品・医療機器工場では、2000年の医薬発237号で「医薬品等の回収の基本的考え方」が通知されて以来、生体由来の異物、つまり昆虫類と毛髪に対する管理が強化されています。昆虫類の管理については、2006年7月に発出された「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」で効果的かつ安全な昆虫類管理プログラムの確立が求められており、2010年8月にはISPE日本本部より「防虫防鼠管理の手引き」が公表されました。また2006年5月には食品の残留農薬基準にポジティブリスト制度が導入され、工場においても殺虫剤に頼らない「レスケミカル」が重要な要素となってきております。2008年に厚生労働省から示された「建築物における維持管理マニュアル」では、『IPM(Integrated Pest Management:総合的有害生物管理)』が推奨されていますが、今回のセミナーではIPMの考え方と導入のポイントを、実例を挙げて解説いたします。
2012年7月18日(水):静岡会場
13:00~17:00
会費:¥20,000-
時間 | 内容 | 講師 | |
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1 | 13:00~14:00 | 建物内の昆虫管理、IPMについて | 谷 壽一 |
2 | 14:10~15:50 | IPMプログラム作成のために~昆虫の防除と操作の事例~ | 伊藤 壽康 |
3 | 16:00~17:00 | IPMテーブルとIPMプログラム | 伊藤 壽康 |
IPMは農業害虫を管理するために開発された手法である。FAO(1965)ではIPMを「あらゆる適切な技術を相互に矛盾しない形で使用し、経済的被害を生じるレベル以下に害虫個体群を減少させ、かつその低いレベルに維持するための害虫管理システムである。」と記している。レスケミカルの要求から建物内の昆虫類管理についてもこの概念が取り入れられつつあり、食品ではAIBが「IPMプログラムを持つこと」を監査要求項目に挙げている。
nbsp; IPMで重要なことは「複数の防除法の合理的統合」と「害虫個体群管理システム」である。本セッションでは、IPMの概念に基づく昆虫類のモニタリングの妥当性、個体群と防除の関係、生態的に考えるべき防除適期などについて解説する。
昆虫類をコントロールするためには防除だけでなく環境を操作する必要がある。建物内の昆虫類管理においては効果が一過性となりやすい化学的防除に頼るのではなく、物理的防除、環境の物理的操作、昆虫類の行動操作を併用して長期的にコントロールできる仕組みを作ることが重要である。
本セッションでは、IPMプログラムに基づく建屋内の様々な防除と環境操作の事例と効果について紹介する。
【事例内容の一例】
・クリーンルームにおけるコナチャタテ科防除のための真菌対策事例
・陰圧工場による製造室の飛翔侵入性昆虫減少事例
・隙間対策による昆虫減少事例
・ライン洗浄による有翅チャタテムシ類対策成功事例
・排水管洗浄によるショウジョウバエ科、ノミバエ科防除事例
IPMプログラムも文書化して管理する。建屋内で管理の対象とすべき昆虫類の種類ごとに、ライフサイクルや発生消長、個体群の動態に影響の大きい要件、実施した防除や環境操作の効果の検証結果などに基づいて、年間の実施項目をIPMタイムテーブルとして作成する。IPMプログラムでは、作成したIPMタイムテーブルを基盤としながら、昆虫類管理プログラムの全体的な活動を文書化し、手順書として確立してゆく。モニタリングの実施から結果の評価、是正措置実施までの手順、また基準値超過時の防除対策や後追い調査の手順までを文書化すれば、PDCAサイクルとして運用できる。主要な昆虫類のIPMタイムテーブルについて検討するとともに、IPMプログラムを文書化するためのポイントについて事例を含めて紹介する。
注* 当社と同業種、コンサルタント・個人の方のご参加はお断りしておりますので、予めご了承ください。