第162回EQMセミナー 『昆虫の同定と管理のための基礎講座』

TOP > セミナー・論文紹介 > EQMセミナー・手術部セミナーのご案内 > EQMセミナー実績 > 第162回EQMセミナー 『昆虫の同定と管理のための基礎講座』

EQMセミナー情報EQM Seminar Information

食品工場・食品流通業対象

第162回EQMセミナー
『昆虫の同定と管理のための基礎講座』

  2006年5月に食品の残留農薬基準が改正され、ポジティブリスト制度が導入されました。食品工場における昆虫の管理は、殺虫剤に頼らない「レスケミカル」が重要な要素となってきています。2008年に厚生労働省から示された「建築物における維持管理マニュアル」では「人や環境への影響を極力少なくする防除体系」として、『IPM(Integrated Pest Management:総合的有害生物管理)』を推奨しています。またAIB国際検査統合基準では「IPMプログラム」を要求していますが、「施設から有害生物を排除することは重要であるが、食品製造環境内で有害生物が繁殖できる機会を無くすことの方がさらに重要である。」と述べています。
  多様な生態を持つ昆虫類が生息できる機会をなくすためには、問題となる昆虫の製造環境における指標性を知る必要があり、それには正確な同定が不可欠です。工場で問題となる主要昆虫について、それらの同定方法(同定の際に確認すべき形態的特徴)と各々の生態、工場での発生特性および防除方法を理解、習得します。あわせて、モニタリングから要因の究明、改善の実施と効果確認、管理プログラムの構築へとつながる昆虫管理の全体像について、基本的な進め方を解説します。昆虫管理の現状の見直しや強化を検討されている方、新たに防虫担当者になられた方に最適なセミナーです。

2013年2月19日(火):東京会場
(本社常設セミナールーム/JR線・都営新宿線・東京メトロ丸の内線 新宿駅)

10:00~17:00
会費:¥30,000-

EQM セミナー スケジュールEQM Seminar Schedule

  時間 内容 講師
1 10:00~11:00 食品工場における昆虫管理の進め方 谷    壽一
2 11:00~12:00 昆虫のモニタリング方法とPDCAサイクルのフロー 村松 祥太
3 13:00~15:40 工場で問題となる主要昆虫の種類と生態、同定方法 伊藤 壽康
4 15:55~17:00 昆虫の防除法
~ 防虫の構造・物理的防除・化学的防除 ~
伊藤 壽康

講演要旨Abstract Of Lecture

1)食品工場における昆虫管理の進め方

  昆虫の管理は自主管理が基本である。まず、妥当性のある防虫計画を立てること。しかし防虫管理の計画が、モニタリングと殺虫剤散布だけであることもある。 製造環境での昆虫管理は微生物の汚染源とならないことと、異物として混入しないように管理すること。そして管理されていることの証明ができることである。管理とは昆虫モニタリングのデータが生かされ、問題があったときに是正措置が取られ、その後予防措置が講じられて、記録が残っていることが重要である。
  IPMプログラムを開発し運用するには、問題となる昆虫の種類と生態を知り、モニタリングで発生予察をして、そのデータを有効活用して、製造環境の改善と効果確認につなげる必要がある。それらを年間のタイムテーブルに落とし込んでいく。昆虫管理で必要となる要素の全体像を確認し、基本的な進め方について紹介する。

2)昆虫モニタリングの方法とPDCAサイクルのフロー

  昆虫管理における重要なポイントは、モニタリングの結果から「いかにして素早くPDCAサイクルのフローを回し、継続的な改善を行うか」である。前提としては、まず妥当性のあるモニタリングの設計が重要であり、定期モニタリングの設計と問題発生時のモニタリングの設計基準が必要である。またモニタリング結果の「解析・評価」は、以降のアクションの方向性を決定付ける主要因であり、昆虫の種類ごとの生理・生態、各製造環境での発生特性を熟慮した「評価の基準」を設定しておくことが重要である。「種類別の改善のフロー」は、これまでの様々な問題発生事例も取り込んだこれらの基準に基づき構築される。
  昆虫モニタリングの実施方法、解析と評価の基準、対種別の改善のフローについて解説する。また特に重要なのは問題発生時の原因究明であり、その方法として実施する種々の調査方法についても説明する。

3)工場で問題となる主要昆虫の種類と生態、同定方法

  このセッションでは各工場で発見される昆虫類の同定についてと、その生態を紹介する。
  昆虫類は多様性に富み様々な環境に適応して生活するが、工場の製造環境に生息する種類は多くても40種類程度であり、中でも重要度の高いのは10種類前後に限られる。これらを同定することができれば工場独自での問題への対応が可能になる。ここでは、昆虫の種類を調べる上での基本的知識を得るために、昆虫同定の基礎を説明するとともに、各種の昆虫類の同定のポイントを紹介する。また主要な15種類程度について、現物の昆虫を見ながら同定の実習を行う。更に昆虫の種類ごとに、それが生息する原因すなわち昆虫類の環境指標性について述べる。

4)昆虫の防除法  ~ 防虫の構造・物理的防除・化学的防除 ~

  外部から侵入する昆虫に対しては、出入口設備や扉の構造、光源管理(カラーコントロール)、建物外周の構造などを、多段バリアとして構築することにより、製造エリアへの負荷を低減させる必要がある。また内部発生する昆虫に対しては、建材の材質や継目の仕舞、これらの建築時の施工状態、機器類の設置状況などが問題で生息域(ハビタット)を形成している場合が多い。適用する設備などのリストと選択の指針、建材や施工方法などの仕様を明確にして、防虫のための構造基準を構築する必要がある。
  化学的防除については、コンタミネーション防止のため、殺虫剤の使用は最小限とする基本姿勢が重要である(レスケミカル)。殺虫剤の使用基準を明確にするとともに、使用後の残留の確認方法も含めて整備しておく必要がある。
  問題となる昆虫の防除・制御を進めるに際しての基準作りと実際の適用方法について説明する。


注* 当社と同業種、コンサルタント・個人の方のご参加はお断りしておりますので、予めご了承ください。