第169回EQMセミナー 『防虫対策の費用対効果の実際と自社でできる対策実例』

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EQMセミナー情報EQM Seminar Information

医薬品・医療機器・化粧品工場・包材材料などGMP,QMS工場対象

第169回EQMセミナー
『防虫対策の費用対効果の実際と自社でできる対策実例』
  医薬品企業にとって、製品回収の判断と実行はリスクマネジメントの大きな要素の一つであり、社会的な責務として、また経営上の損失を最小限とするためにも重要です。異物混入があった場合には、その異物から最大限の情報を引き出し、混入経路の推定をおこなうとともに再発防止対策を構築しなければなりません。
  本セミナーでは、生体由来異物についての分析手法を習得していただくとともに工場における再発防止対策について解説いたします。
  医薬品GMPの国際協力については、日本は現在EUとMRAを締結しておりますが今後PIC/Sの加盟により多くの国とGMPの情報を共有していくことになると考えられます。2011年に改訂された「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」なども、最新の知見やICHなどの国際的な整合性を踏まえて作成、公表されており、まさに運用段階での品質保証体制の適否が問われてきていると考えます。これは製造環境管理についても同様であり、科学的な根拠に基づく効果的かつ安全なコントロールプログラムが推奨されています。このような背景の下、私共は医薬品等の製造工場における生体由来物混入防止対策、環境微生物の管理を中心としてハード、ソフト、ヒューマンにわたる管理項目を抽出し、管理システムを構築するお手伝いをさせていただいております。

2014年1月17日(金):大阪会場
(千里ライフサイエンスセンター/北大阪急行 千里中央駅)

13:00~16:50
会費:¥20,000-

EQM セミナー スケジュールEQM Seminar Schedule

  時間 内容 講師
1 13:00~14:00 生体由来の異物混入と回収事例 谷    壽一
2 14:00~15:00 昆虫異物の分析方法 木村 俊彦
3 15:10~15:50 毛髪異物の分析手法 中川    禎
4 15:50~16:50 混入経路の考察と再発防止対策の構築 尾池 泰英

講演要旨Abstract Of Lecture

1)生体由来の異物混入と回収事例 ~回収事例から国内外の最近の動向~

  医薬品・医療機器・化粧品の事故では、状況によっては多くの消費者が健康危害を被る可能性がある。そのため製品回収の判断と実行はリスクマネジメントの大きな要素の一つである。製品回収の判断は、安全性と有効性の観点からなされる。日本では毛髪や昆虫類の混入は製品回収の対象となっているが、日本以外では毛髪や昆虫類で公表されている回収事例は極めて少ない。医薬品・医療機器・化粧品及び食品における昆虫類や毛髪が混入した場合の日本と海外の回収事例を紹介し、その違いや健康被害について考える。
  また、回収だけではなく防虫管理の目的や方法についても海外と日本では違いがみられる。防虫管理については、「防虫管理の目的」という点で整理したときには3つの段階にまとめることができるが、それぞれの目的を理解しておかないと海外からの査察時に論点がかみ合わないといったことが起こってしまう。本セッションでは、国内外の最近の動向を踏まえ、海外からの査察時の指摘事例なども紹介しながら生体由来の異物混入と回収事例について説明する。

2)昆虫異物の分析方法

  昆虫異物の分析を進めるにあたって重要なことは、「昆虫の異物」としての特性をよく認識することである。昆虫は他の異物とは異なり、能動的に活動する動物であり、種類によっても生理・生態、行動様式や生息場所まで異なる。まず種類を同定することが最低限必要な情報である。また虫体の保存状態や混入の状態からは、混入時の状況に関する情報が得られ、虫体を取り巻く製品や包装には、昆虫の生息していた痕跡が残っている可能性がある。いずれも、昆虫の生理・生態などの情報に基づいた確認すべきポイントが存在する。昆虫異物の事例なども含めて、分析に際して重要となるこれらの確認すべき項目と、それにより引き出せる情報について説明する。
  昆虫異物の分析では、試薬や機器を用いた各種の試験も有益な情報をもたらす。カタラーゼ活性試験等、試験の実施方法と得られる情報を紹介するとともに、実演や実習などを通して試験方法を体験する。
  こうした分析方法を過誤なく実施するためには、クレーム発生段階から分析の実施に至るまでの昆虫異物とそのクレーム品の取り扱いについても、遵守すべき事項が非常に多い。このために必要となる「異物検体の取り扱いの手順」についても説明する。

3)毛髪異物の分析方法

  毛髪に関して、混入原因の究明のために実施すべき各種の分析手法について説明する。
  毛髪、あるいは毛様異物の場合、まず毛髪なのか、そうではなく繊維の類なのかの判断が必要になる。また毛髪であっても、人毛か動物毛か識別しなければならない。これらは主に表面の形態や内部の形質に基づいて分析される。また毛根には、酵素やDNAが含まれており、これらも分析に用いることができる。これらの分析方法と、分析のために必要な資料や情報等について解説する。

4)混入経路の考察と再発防止対策の構築

  生体由来異物分析の目的は、不具合発生の原因と工程を特定するための情報を得ることである。製造工程中か、物流保管及び移動期間中か、店頭陳列時か、あるいは消費者の家庭で混入したのかなどを得られる情報から科学的根拠をもって判断する必要がある。
  また、その製品が製造された工場の環境や状況がどうであったか、つまり毛髪や昆虫類が管理されていたかを追跡する必要がある。管理されていることを裏付けるためにはモニタリングから改善へのPDCAフローが確立しており、改善が確実に実施され、そのアクションの記録が残されていることが大切である。また、この一連の流れの手順書を整備することも必要である。これら工場での管理体制と異物からの情報の両者から原因と工程を推察していくことができる。


注* 当社と同業種、コンサルタント・個人の方のご参加はお断りしておりますので、予めご了承ください。