第69回EQMセミナー 『昆虫動態のバリデーション 昆虫管理手順書と防虫構造基準』

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EQMセミナー情報EQM Seminar Information

医薬品・滅菌医療機器工場対象

第69回EQMセミナー
『昆虫類管理プログラムのバリデーション』昆虫管理手順書と防虫構造基準

  医薬品・医療機器工場における昆虫管理は、バイオバーデンを把握し日常・定期による製造環境、衛生管理を適切に運用することにより実現すると言えます。クリーンルーム内における昆虫の問題の多くは真菌由来であり防虫構造上の不具合から発生しますが、その問題を究明されている工場は少ないのが現状です。昆虫の問題は根本的原因を除去し、再発防止のための措置をとらなければ解決が困難であり、そのための判断とアクションのフローチャートを手順化することが望まれます。
  第69回EQMセミナーでは、医薬品・医療機器製造施設に要求される防虫機能について検討するとともに、防虫構造基準や構造上の問題点について具体的な事例を踏まえて解説いたします。また、妥当性のある管理プログラムの構築、昆虫管理手順書の整備について説明いたします。


現在検討中の日本版「無菌医薬品製造におけるガイドライン」の一項目に「昆虫管理」が挙がっています。
平成12年度医薬発237号により、昆虫管理は企業にとってのリスクマネジメントの一環ととらえる必要があります。
PDCAサイクルによる継続的改善の運用によって昆虫管理が実現します。



2003年9月16日(火):東京会場
本社常設セミナールーム(JR線・都営新宿線・地下鉄丸の内線 新宿駅)
2003年9月19日(金):大阪会場
千里ライフサイエンスセンター(北大阪急行 千里中央駅)

10:00~16:45
会費:¥35,000-

EQM セミナー スケジュールEQM Seminar Schedule

  時間 内容 講師
1 10:00~11:00 医薬品工場の昆虫管理 谷    壽一
2 11:00~12:00 防虫構造の診断 岡本 美佐子
3 13:00~14:15 防虫上の問題点と防虫構造基準 岡本 美佐子
4 14:15~15:15 昆虫管理手順書の作成Ⅰ-モニタリングと改善の手順- 伊藤 壽康
5 15:30~16:45 昆虫管理手順書の作成Ⅱ-昆虫管理文書の整備- 伊藤 壽康

講演要旨Abstract Of Lecture

1)医薬品工場の昆虫管理

  昆虫がクリーンルームに生息していることは事実です。昆虫を管理下に置くとはどのような管理なのか。まず、昆虫の管理は自主管理が基本です。モニタリングと殺虫剤散布ではないことは明らかです。
製造環境での昆虫管理は微生物汚染源とならないことと、異物として混入しないように管理すること。そして、管理されていることの証明ができることです。管理とは昆虫モニタリングのデータが生かされ問題があったときに是正措置が取られ、その後予防措置が講じられて、記録が残っていることが重要です。そのためにも自主でモニタリングの同定をして改善を進める必要があります。
  人が動き、物が動き工場の環境が変化するなかで、埃の堆積、清掃の状況、真菌の発生などで昆虫の動態が変動します。日常、週、月、年でどのような管理が必要なのか項目の抽出と管理方法を決めていくことが大切です。医薬品工場の昆虫管理の進め方についてご紹介します。

2)防虫構造の診断

  防虫構造とは、高度清浄区域での「昆虫の侵入」と「昆虫の発生」を抑制するための基本構造です。その評価は工場自体の施設設備の仕様や管理運用状況を把握し、昆虫の特性を理解した上で行う必要があります。屋外には多数の昆虫が生息し、そのため発生のピーク時においては負荷が高くなりますが、その期間においても管理基準を満たす構造が要求されます。防虫構造はこの機能要求を満たすかどうかが肝要であり、防虫構造の診断は機能診断となります。
  ここでは、昆虫の侵入方法と生態から防虫構造の調査技法、それらの結果からの考察について説明します。

3)防虫上の問題点と防虫構造基準

  昆虫の工場内への侵入方法には飛翔・徘徊・付着があります。飛翔及び徘徊侵入に対しては防虫機能として侵入を制御できる構造が必要となります。付着については更衣や搬入手順など管理運用面での対応が必要です。また、工場内での定着を予防するためには発生原因となる劣化や不具合の予防が必要になります。工場の新設時には予め防虫構造の機能要求を考慮して設計する必要がありますが、既設工場においては問題発生時にできるだけ早く不具合の程度と範囲を把握し、改善することが必要です。
  中でも菌食性昆虫が捕獲された場合は構造上の何らかの不具合のために真菌が大発生したものと考えられます。多くの場合気密性の高い高度清浄区域で問題が発生するために、製造空間における製品への昆虫の負荷が高くなり、混入の機会が多くなります。真菌由来の問題はリスクの高い、緊急を要する課題であるといえます。
  本セッションでは、防虫上の不具合を具体的な事例とともに説明し、予防するための防虫構造基準について解説します。

4)昆虫管理手順書の作成Ⅰ-モニタリングと改善の手順-

  昆虫管理における重要なポイントは、モニタリングの結果から「いかにして素早くPDCAサイクルのフローを回し、継続的な改善を行うか」です。したがって昆虫管理手順書の作成の第一ステップとして、まずこの「モニタリングと改善」の手順を確立する必要があります。作成のポイントは、①妥当性のあるモニタリングの設計基準(定期モニタリングと問題発生時のモニタリングの設計)、②モニタリング結果の「解析・評価」(昆虫の種類ごとの生理・生態・医薬品工場での発生特性を熟慮した「評価の基準」)、③評価結果に基づく是正措置と予防措置の手順、です。
これらの内容を「対種防除指針・種類別のPDCAサイクルのフロー」を中心に構築し、関連する必要な手順書類を整備していきます。
  「昆虫モニタリングと改善」の手順の作成について、医薬品工場での各種昆虫の発生特性や事例を含めながら、実際的な内容について説明します。

5)昆虫管理手順書の作成Ⅱ-昆虫管理文書の整備-

  生体由来物としての昆虫の混入を防止し、また万が一に備えた説明能力を保有するためには、GMPの一項目として昆虫管理手順書を作成し、必要な管理記録を整備し、これらに基づく昆虫の自主管理体制を構築する必要があります。昆虫管理手順書作成の第二ステップは、製造衛生管理基準書やGMPの他の体系と関連付けながら、昆虫に関わる管理活動の全体像を構築し、これを運用することです。
  特に苦情や回収処理にあたっての判断基準や手順の整備は重要な課題であり、またこの基盤となる日常的な工程異常報告(昆虫の内部発見情報の取り扱い)などについても、昆虫管理の視点から整備していく必要があります。
  昆虫管理に必要な管理項目の体系と作成の進め方について説明するとともに、他の基準書・手順書との関連や昆虫管理の視点で追加・補強する内容等について、具体的な事例を含めながら説明します。


注* 当社と同業種、コンサルタント・個人の方のご参加はお断りしておりますので、予めご了承ください。