第50回記念 緊急特別セミナーのご案内~薬剤耐性(AMR)感染症にどう対応するか~

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  平成22年9月4日(土)の全国紙、並びにTVで多剤耐性のアシネトバクター・バウマニによる院内感染が大々的に報道されました。あれから8年経過した現在、期せずして、再び、この8月3日(金)付け全国紙でアシネトバクター・バウマニによる院内感染で死者が出た、と報道されました。
  今、「薬剤耐性感染症」が世界的に拡大しています。一方、新規の抗菌薬等の開発が近年停滞しているという由々しき事態となっています。万一、皆様の施設でこのような感染症が発生した場合、どの様な対応と対策をとったらよいのか不安に思われていらっしゃる方々も多いとお聞きしています。
  そこで今回、感染症に造詣の深い自治医科大学附属病院感染制御部長 森澤雄司先生をお招きして、皆様の不安や疑念に出来るだけお答えして頂くようお願い致しました。ご期待ください。
  また、今年がインフルエンザ過去最多の流行をみたこともあり、その他のウイルス感染症の最近のトピックスも踏まえて、ウイルス感染症の対策についても森澤先生にご講演頂くことに致しました。

是非この機会を逃さず、多数のご参加をお待ち申し上げております。尚、ご参加を希望される方は、申込用紙を送って下さる時に同封の質問用紙にご質問内容を書いて頂き、一緒にご送付願えれば幸いです。  


  時間:13:15~17:00
  会費:医療従事者  ¥5,000-/1名(テキスト代を含みます)(看護学生  ¥3,000-)


    尚、参加費は郵便払い込み用紙に病院名・参加者・参加会場をご明記の上、
    受講日の3日前までに指定の郵便払い込み口座にお振込みください。(手数料はご負担願います)

      ※郵便払い込み口座 00140-3-484189 シーアンドエス(株)
      ※他銀行から下記への振込みも可能です。
      銀行名:ゆうちょ銀行 店名(カナ):〇一九店(ゼロイチキュウ店)
      預金種目:当座 口座番号:0484189 シーアンドエス(カ

 *キャンセルの場合、一旦お振込み頂いた参加費は、原則返金致しませんが、
      当日の「テキスト」をお送りさせて頂きます。ご了承願います。

プログラムProgram

  時間 内容 講師(敬称略)
1 13:15~13:30 はじめに シーアンドエス㈱
岩田 哲郎
2 13:30~14:50 第1部「耐性菌対策と抗菌薬の適正使用」 自治医科大学附属病院
感染制御部長

森澤 雄司
3 14:50~15:00 休憩
4 15:00~16:20 第2部「ウイルス感染症と感染防止対策」
5 16:20~16:30 休憩
6 16:30~17:00 質疑応答(
予め質問内容をお送り下さい。

開催日程及び会場Schedule And Venue

日程 会場 会場名 所在地 会場連絡先
10/27 東京 弘済会館 葵 東京都千代田区麹町5-1 03-5276-0333
11/24 神戸 JEC日本研修センター
神戸元町  大会議室A
神戸市中区元町通2-3-2
ジェムビル3F
078-327-4040

内容についての要旨Summary Of Contents

1)耐性菌対策と抗菌薬の適正使用

  医療技術の進歩や管理基準の向上、医療従事者の熱意と誠意に関らず、病院それ自体が感染症の温床である。
医療行為は必ず感染症リスクを内在しており、医療従事者は不断の努力により “起こるべくして起こる” 合併症を防止しなければならない。
  一方、病院という限定した空間で多数の患者に抗菌薬が投与される状況では、集約された高度耐性菌が日常的に跋扈することとなる。高齢化社会に伴う患者数の増加、医療の高度先進化の反面、医療費削減が求められる現状にあっては、すべての耐性菌保菌者を同定することは不可能であり、感染防止リスク評価に基いた積極的監視検査を検討しつつ、標準予防策・手指衛生を徹底することこそ肝要である。急性期ケア病棟などでは耐性菌保菌者に接触感染予防策が必要であるが、個室隔離管理はケアの質の低下に繋がる。接触感染予防策を解除する時期に関する科学的根拠の乏しさなど、すべての医療従事者が意識を高くもち、感染防止対策担当者と連携して、科学的かつ現実的に耐性菌対策にあたることが必要である。

  わが国は平成 28 年 4 月 5 日に “国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議” において “薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン20162020” を決定し、国家を挙げて耐性菌対策を推進している。
2020 年までに
(1) 肺炎球菌のペニシリン耐性率 15% 以下に低下
(2)黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性率 20% 以下に低下
(3) 大腸菌のキノロン耐性率 25%以下に低下
(4) 緑膿菌のカルバペネム耐性率 10%以下に低下
(5) 大腸菌・肺炎桿菌のカルバペネム耐性率 0.2% 以下を維持することを目標に(6) 人口あたり一日抗菌薬使用量を 2013 年水準の 2/3 に減少
(7) 経口セフェム系、キノロン系、マクロライド系薬の人口あたり一日使用量を 2013 年の水準から 50% 削減、
(8) 人口あたりの一日静注抗菌薬使用量を 2013 年の水準から 20% 削減することを実現しようとしている。今
日、耐性菌対策と抗菌薬適正使用はすべての医療従事者に求められる課題である。

2)ウイルス感染症と感染防止対策

  感染防止対策といえば、特定あるいは第一種感染症指定医療機関におけるエボラウイルス感染症のような病原体に特異的な対策を思われるかもしれないが、実際の医療現場では普遍的な病原体への対策こそ重要であり、その具体的な方法論は隔離予防策として体系的に整備されている。すべての場面で実践すべき標準予防策があり、日常的な季節性インフルエンザやノロウイルスには接触・飛沫感染予防策を加えて対応される。さらに厳密に接触・飛沫感染予防策を実践すべき対象に、例えば MERS コロナウイルスのように第二種感染症指定医療機関等で封じ込めを図る感染症があるが、新型インフルエンザのように一般医療機関も対応せざるを得なくなる場合もあり、通常時から着実な隔離予防策は医療従事者の課題である。
  医療現場で最も意識される血液媒介病原体に B 型肝炎ウイルス(HBV)、C 型肝炎ウイルス(HCV)、HIV があり、標準予防策によって血液・体液曝露を避ける必要がある。曝露後予防策(PEP)として HIV における cART の応用は広く提供されているが、DAA によって治療と予後が劇的に改善した HCV の PEP は今後の課題である。また、すべての医療従事者にとって HBV ワクチン接種は必須であるが、さらに加えて麻疹、水痘・帯状疱疹、ムンプス、風疹、毎年の季節性インフルエンザワクチン接種も必須である。ワクチンが天然痘を根絶し、ポリオも根絶しようとしている歴史に学ぶ必要がある。
  一般国民向けにも季節性インフルエンザやノロウイルスへの対策を啓発する必要があり、休業や咳エチケット、手指衛生などの基本を強調したい。デング熱やジカウイルス、SFTS ウイルス感染症のような蚊媒介、マダニ媒介感染症が注目されるような機会には、蚊対策などの公衆衛生的なアプローチも情報提供されるべきである。
出来るだけ広い視野から話題を提供したい。

講師紹介

森澤雄司 (もりさわゆうじ)
  自治医科大学附属病院・感染制御部長、准教授
  感染症科(兼任)科長、総合診療内科(兼任)副科長、中央手術部・中央材料室(兼任)室長補佐
  病院長補佐、患者サポートセンター長(兼任)
  栃木地域感染制御コンソーティアム TRIC’K 代表世話人

略歴
 1966 年 5 月    合衆国・ニューヨーク生まれ
 1985 年 3 月    私立灘高等学校卒業
 1987 年 3 月    東京大学教養学部(理科三類)修了
 1991 年 3 月    東京大学医学部医学科卒業
 1991 年 5 月    第 86 回 医師国家試験合格
 1991 年 6 月 – 翌年 5 月        東京大学医学部附属病院・第一内科(黒川清先生)・研修医
 1992 年 6 月 – 翌年 5 月        東京大学医学部附属病院分院・内科(浅野茂隆先生)・研修医
 1993 年 6 月 - 翌年 5 月        関東逓信病院(現・ NTT 東日本 関東病院)・呼吸器センター(石原照夫先生)・専修医
 1995 年 4 月- 1997 年 3 月     東京大学大学院・医学系研究科・免疫学講座(谷口維紹先生)・大学院生(単位取得退学)
 1997 年 4 月 – 同年 7 月        東京大学医学部附属病院・感染症内科(木村哲先生)・医員
 1997 年 7 月 – 2004 年 3 月   東京大学医学部附属病院・感染制御部(木村哲先生)・助手
 2004 年 4 月    自治医科大学附属病院・感染制御部長
 2009 年 4 月    自治医科大学附属病院・感染症科・科長(兼任)
 2012 年 4 月    自治医科大学附属病院・中央手術部・中央材料室・室長補佐(兼任)
 2013 年 10 月  自治医科大学附属病院・総合診療内科・副科長(兼任)
 2016 年 4 月    自治医科大学附属病院・病院長補佐、地域医療連携・患者支援部・部長(兼任)
 2016 年 9 月    地域医療連携・患者支援部を患者サポートセンターに改称、センター長(兼任)

学会活動、その他
日本環境感染学会・理事・教育施設認定委員長・国際委員、 職業感染制御研究会・幹事、
日本内科学会・関東地方会幹事、 APIC 会員、慶應義塾大学医学部・講師(非常勤)、  他

社会活動
栃木地域感染制御コンソーティアム TRIC’K 代表世話人、
栃木県新型インフルエンザ対策専門委員、
現場からの医療改革推進協議会・発起人、
元・厚生労働大臣政策室アドバイザー(2009 年 5 月 – 2011 年 3 月)、  他

>緊急特別セミナー東京会場の様子(2010年10月30日)


注* 当社と同業種、コンサルタント・個人の方のご参加はお断りしておりますので、予めご了承ください。