PHCグループ紹介

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PHCグループの社会的使命

異物の混入が社会事件に~PHCグループの社会的使命

  平成12年6月末に、大手乳業会社による食中毒事件が起きました。これを契機として消費者の食品の安全性に対する不信感が高まり、苦情が殺到し食品の回収事件が相次ぎました。
これらの製品回収の原因には、様々な異物が多く含まれていました。ハエの死骸やトカゲ、製造機械のコンベアの留め金、製造室内で破損した陶器の破片などなど。製品回収事例では、食中毒など微生物由来のものよりも、異物を原因としたものの方が多く発生しました。異物の混入は、誰の目にも『欠陥商品』であることが明らかであるため、被害の程度に関わらずクレームに直結しやすい欠陥であることが顕著に現れたといえます。その後はメタミドホスなど殺虫剤が問題になり、昆虫の制御は殺虫剤を使用しない方法に移りつつあります。 医薬品では平成7年に、同じように異物混入を主な原因とした製品の回収事件が頻発しました。注射薬や輸液などの無菌製剤に昆虫や毛髪、ガラス片などの異物が混入していたのです。この時は、薬事法やGMPの改正・PL法の施行などの法律改正が主要な契機となりました。
  食品でも医薬品でも、一つの事象を契機として回収事件などが表面化するということは、実際の製造現場では日常的に同じようなことが発生していることを如実に示すものと言えます。つまり異物混入の制御は、メーカーにとっては品質保証と信頼性獲得のための非常に重要な課題であり、ひいては消費者の願う安全や安心・健康の増進につながる食品や医薬品に欠かせない課題といえます。我々PHCグループはその課題をサポートするために、様々な調査技術による問題究明、科学的根拠に基づく問題解決を現場ごとに実現する活動を行っています。

PHCって何?

  Physical Hazard Controlの略です。食品や医薬品に異物として混入することによって、摂取した人体に対して物理的な危害を起こす要因を制御することを意味しています。
  製品の不良による人体への健康危害の要因は、生物的危害要因(食中毒菌などの微生物や寄生虫など)、化学的危害要因(殺菌剤、洗浄剤、抗生物質、農薬、アレルゲンなど)、物理的危害要因(動物性、植物性、鉱物性などの様々な異物)の3つに大きく分けられます。このうちの物理的危害要因の制御を行うことが、私たちPHCグループの任務です。

食品や医薬品に混入する異物の種類と制御の重要性

  異物としては、金属や硬質異物(ガラスやプラスチック、木片や骨など)のように摂食した時に口の中に怪我をするような異物の制御も重要ですが、昆虫や毛髪などのように人体への直接的な危害はない異物であっても、消費者の不安や不快感を招きメーカーの信用を著しく低下させるため、これらの制御も非常に重要な課題です。日常的にメーカーに寄せられる消費者クレームでは、むしろこうした昆虫や毛髪、また製造過程で混入する繊維や紙片など様々な異物の混入が多くを占めているのが実情です。

PHCグループのメンバー

  現在は昆虫や毛髪を中心に管理手法を構築していますが、単にそれらの知識があるだけでは問題解決は困難です。 私たちの任務を果たすためには知識と経験、それらを現場ごとに応用する、考える力が必要です。 また、問題を未然に防ぐためには日常的に現場における管理を進めなくてはなりません。そのために現場担当者の教育や教育ツールを作成することもあります。
  右の写真は、食品・医薬品工場で捕獲された日本未記録種の有翅のコナチャタテ科です。

phc-g

【比較標本と昆虫採集】

  異物となった昆虫がたとえ一部分でも、それが何の昆虫であるかを特定することから問題解決は始まります。そのためには地球上に存在する全ての昆虫標本があれば分析可能かもしれませんが、実際にはそれだけの数は必要ではありません。各工場・現場で問題になりやすい昆虫の科(Family:昆虫など生物の分類上の階級)あるいは種について比較できる標本があれば分析可能です。
  これらの標本を収集するため、また時には昆虫および生物の多様性や進化について広く学ぶために大小の規模おりまぜて昆虫採集会を開催しています。

国内昆虫採集会と同定会を開催

1997年12月:インドネシア バリ・ロンボック島 生物調査の旅

国内昆虫採集会と同定会を開催国内昆虫採集会と同定会を開催