食品製造施設は高温多湿であることが多く、製造環境や製造機械の内部に原材料の残渣などの有機物があればカビ (真菌)やそれを餌とすチャタテムシ類やヒメマキムシ類が発生しやすい環境です。特に製造機械のコンベアや充填機にカビが発生すると製品に混入する可能性があります。
食品製造施設の製造環境と製造機械のカビとチャタテムシ類の発生原因および対策についてご提案いたします。
昆虫の防除はIPMの概念を基に取り組みます。
種類ごとに生態的特徴に合わせて対種防除を立案します。
チャタテムシ類など施設内部で発生する昆虫は餌資源を除去して食物連鎖網を断ち切る生態的防除が有効です。防除の基本は環境抵抗を高めて環境収容力を下げることです。
対策の特徴
1. あらゆる防除法の合理的統合
2. 生態的防除と環境調整(物理的防除)
3. 防除適期と頻度の決定
4.年間防除計画を立案して低密度を維持する管理
カビとチャタテムシ類の発生防止対策は下記のプロセスで実施します。
1.インスペクションによりカビの発生場所とチャタテムシ類の生息場所を特定
2.モニタリングデータの発生消長などから防除適期を決定
3.清掃・洗浄・殺菌方法、湿度管理などの設計 (環境清掃・殺菌作業、高所清掃・殺カビ作業、製造機械の分解洗浄作業の必要性など)
4.目視によりカビとチャタテムシ類の生息を確認しながら作業を実施
5.実施後、生息マップを作成しカビの発生しやすい所を定期的に目視調査
6.低密度を維持できるように年間防除計画の作成
7.対種防除指針の作成
8.日常の洗浄・殺菌などの手順書にフィードバック
品質リスクマネジメントガイドライン(ICH Q9)には「リスク低減方策の実施により、新たなリスクがシステムの中に生じたり、既存の他のリスクの重大性が増加したりする場合がある。そのため、リスク低減のプロセスを実行した後は、可能性のあるリスクの変化を特定及び評価するためにリスクアセスメントに戻ることが妥当である場合がある。」とあります。
殺虫剤はケミカルハザードとしてハザードリストに挙げられています。食品製造施設の殺虫剤使用は他に適切な方法がない場合の最終手段として考え最小限の使用量にするべきと考えます。
農作物は殺虫剤の使用後に収穫までの休薬期間を遵守することにより安全性が確保されていますが、食品製造施設ではそのような期間の設定はできません。殺菌剤や洗剤と同様に殺虫剤を使用する場合は成分除去の方法や残留性試験などのバリデーションを行う必要があります。
1-1:5Sと個人衛生(クレンリネスの必要性)商品構成 | |
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・チャタテムシ類発生防止の環境清掃・殺菌 ・チャタテムシ類発生防止の製造機器洗浄 ・殺菌 ・隙間対策の営繕 1.コーキング施工 2.内装用防虫フィルム施工 3.クリーンルーム用防塵クロス張施工 4.エポキシ床の修繕 ・防虫用マグネットシート(開閉扉の気密性アップ) ・湿度管理、空調施設や空調機器類による改善 ・防カビ施工 ・防虫用資機材 |
関連商品 | |
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・真菌調査、同定 ・異物分析(昆虫同定、混入経路の考察、赤外分光分析など) ・昆虫相診断・モニタリング |
医薬品製造施設 チャタテムシ類の発生防止対策