カビ(真菌)汚染とチャタテムシ類の発生要因

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カビ(真菌)汚染とチャタテムシ類の発生要因

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図 カビ(真菌)と食菌性昆虫の発生要因


  カビ(真菌)は胞子を形成し、その胞子は物体に付着するだけでなく空気中に浮遊して気流により拡散します。そして付着したところに栄養分と水分があれば菌糸を伸ばし、菌糸は分岐を繰り返しながら栄養分となる基質の表面や内部に向かって生育し菌糸体となります。菌糸体から胞子柄が直立し、その先端にできた胞子のうで成熟した胞子は空気中に飛散して浮遊、また昆虫類を含む動物や荷物に付着して拡散していきます。
  カビは高湿度な環境で有機物が付着したり残渣が堆積していると発生します。そのため水や蒸気を多用する食品製造施設はカビが発生しやすい環境になっています。
  カビを餌とするチャタテムシ類やヒメマキムシ科には1個体あたり102~103CFU程度の胞子が付着しています。チャタテムシ類の微生物検査からはCradosporium、Penicillium、Aspergillusの3属が多数確認されています(谷他2021)。食菌性昆虫の虫体に付着した胞子は水分があれば昆虫の死骸からも菌糸を伸ばし胞子を形成しますが、昆虫の歩行により落下し拡散すると考えられます。

引用文献
1) 谷壽一・津田訓範・湯本進一, 食品製造環境・製造機械の真菌とチャタテムシ類の発生防止対策,月刊HACCP.28(2).pp.37-43.2022.
2) 谷壽一・木村俊彦・鳴海徹,リスクマネジメントの視点からの防虫管理(その5)リスクアセスメント④ リスク分析~真菌の発生要因と真菌汚染~,PHAR TECH JAPAN.37(5):91-98.じほう.2021