農学分野で約30年前に開発されたIPM(Integrated Pest Management)という概念が現在では世界の害虫防除の基本となっています。
近年は建物内の昆虫管理にもIPMという言葉が多用される時代です。しかし、建物内のIPMとは何でしょうか。IPMは応用昆虫学のひとつで、個体群生態学をベースとして群集生態学を取り入れて害虫をマネジメントする科学です。モニタリングと殺虫剤を減らすことだけがIPMではありません。
生態系の中で最も重要な要因は食物連鎖です。限られた室内という環境で発生する昆虫は生息状況の解析をもとに防除設計が可能です。餌が無ければ昆虫は発生しません。防虫管理者がこれを理解できれば意味のないケミカルの多用と、製品を殺虫剤で汚染するケミカルハザードを防止できます。
C&SではIPMに基づく防虫防鼠管理プログラムを提案いたします。
工場内に生息する昆虫の動態は工場内のクレンリネスレベルおよび外部とのゾーニングなどについてその時の状況を間違いなく反映します。これが各指標昆虫の個体群動態が環境の指標となる根拠です。
したがって個体群動態のモニタリングデータは環境を科学的に評価、把握する上では最適な方法であり、これがC&Sが提唱してきた「昆虫は環境のインジケーター」という意味です。
しかしモニタリングポイントの検証や昆虫の管理基準、解析手法に妥当性がなければモニタリングデータは環境の指標とはなりません。トラップの設置・回収方法を含めて手順を文書化し、得られたデータを解析して環境管理基準の是正や工場内生息昆虫リストの作成、ライブラリーの整備が必要です。
C&Sは環境の診断を通じてデータの回収、解析、リストの作成、ライブラリー整備をサポートします。
昆虫管理はレスケミカルを基本方針に環境を整備し、薬剤の使用は必要最小限にすべきです。殺虫剤は昆虫を殺すための特効薬ですが、環境や製品に対するケミカルハザードでもあります。化学的防除については、ペストコントロールを行う業者名、施設側の責任者名、使用する薬剤のリストと使用方法、毒餌の設置場所の図面、調査頻度(モニタリング回数)、調査結果の記録などは文書化して記録を管理する必要があります。そしてこのプログラムの記録は有効性の検証とともに要求に応じて提示できるように管理されていなければなりません。
また、飛来侵入昆虫対策として光源のカラーコントロールや差圧管理も導入します。室内発生昆虫に対してはハビタット管理として排水溝や空調機の洗浄計画も昆虫の発生周期に合わせて設定するべきです。
食品工場の昆虫管理はクリーニングプログラムや施設管理と平行して行わなければ効果は上がりにくく、それぞれのプログラムはまったく別個に管理されるのではなく、統一したプログラムの中で統合管理することにより、効果が上がり費用有効度がよくなります。
C&Sは昆虫管理を他のプログラムと統合して運用するための各種手順書作成、PDCAサイクルの運用、効果判定、監査についてサポートいたします。