製造機械のチャタテムシ類発生防止対策

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製造機械のチャタテムシ類発生防止対策


  食品製造機械は構造が複雑です。昆虫類が機械内部に生息している場合は、昆虫モニタリングではチャタテムシ類の生息場所を特定できないことが多く、機械を分解してカビの発生やチャタテムシ類の生息が判明する場合があります。製造機械やラインは製品に近いため、ここで昆虫が発生すると混入の可能性が高くなるので十分な対策が必要です。

チャタテムシ類防止のための製造機械の洗浄殺菌

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  機械は洗剤を発泡後、一定時間静置しブラシなどで付着した有機物を除去してから高圧洗浄機などで堆積物と洗剤成分を洗い流し、目視で堆積物がないことを確認してから流水で洗浄します。その後乾燥したウエスで水分を可能な限り取り除き、必要であればエタノールで殺カビを実施します。
  日常洗浄で洗浄しにくい回転軸やプーリー、ステンレスカバー、コンベアガイド、コンベアを支えている台座裏面などは残渣が残りやすく真菌が発生しチャタテムシ類が発生しやすいポイントとなります。堆積した有機物は発泡洗剤を使用しこすり洗いで除去します。
  ①、②、⑦は分解洗浄が必要です。分解した部品は洗剤に一定時間浸漬し堆積物が多い場合はブラシなどでこすり洗いをします。
  コンベア内部の汚れを確実に落とすにはコンベアとドレンパンを分解する必要があります。特にカーブコンベアは内部が複雑で分解して洗浄しないと汚れや真菌を除去するのが難しい箇所です。③のドレンパンは比較的容易に取り外しができるので外して洗浄すれば内部の汚れも除去できる構造になっていますが、分解しないままで洗浄すると黒い残渣物がコンベア表面に残って製品表面に付着する可能性があります。
  コンベア台座、架台の隙間など洗浄が難しい場所は、スチーマーを使用すれば高温の蒸気により物理的に熱殺虫できますので昆虫類の卵を含む全ステージに効果があります。
  製造機械の日常洗浄で汚れを除去できない部分は定期洗浄で対応します。定期洗浄時に目視で汚れが残っている箇所や真菌が発生しやすいポイントを特定し、その発生ポイントの状況を月1回程度目視で確認し、昆虫モニタリングの結果と合わせて洗浄頻度を決定します。

  商品構成
 ・チャタテムシ類発生防止の環境清掃・殺菌
 ・チャタテムシ類発生防止の製造機器洗浄・殺菌


引用文献
谷壽一・津田訓範・湯本進一, 食品製造環境・製造機械の真菌とチャタテムシ類の発生防止対策,月刊HACCP.28(2).pp.37-43.2022.