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危害原因物質とは

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食品工場の危害原因物質とはHazard Cause Substance

  食品として摂取する物質のうち、人体に健康被害をもたらすものがHACCPで管理すべき危害原因物質である。もたらされるであろう健康に対する被害(危害:harm)を明確にして、その原因となる物質(hazard)を特定し、そのhazardがそこに存在する要因を明確するのが危害分析(Hazard Analysis)である。各国から示されている危害原因物質を表に示す。
  生物学的危害原因物質は微生物に起因するものが大半であり、カナダでは「生物学的危害原因物質は微生物に起因するものであり、これらはたいてい製造工程の失敗に関係している」としている。CCP(Critical Control Point)に当たる殺菌時の時間や温度が不十分なため残存した病原微生物が例に挙げられているが、初期菌数を増加させないことや洗浄により工程中の二次汚染を防止することも重要である。
  物理的危害原因物質は通常は食品中には存在しない硬質異物で、その物理的な作用により健康被害をもたらす可能性のある物質を指す。
  化学的危害原因物質は生物由来、人為的に添加されるもの、偶発的に混入するものがあるが、食品工場では防疫用殺虫剤などを使用する場合に汚染防止対策と洗浄工程が必要となる。カナダでは食物アレルゲンは化学的危害原因物質として分類され、HACCPに基づき管理されている。
  これら以外に従業員を含めた人間によるMoral hazard(悪意あるいたずら)があり、これは現在Food Defense(食品防御)として取り組まれている。

食品の危害原因物質

危害分類 日本 Codex(FAO) カナダ USA(FDA)
生物的
危害原因
物質
生物的危害の多くは微生物によって発生し、それは大きく分けて①細菌、②リケッチア、③ウイルス、④原虫、⑤酵母、⑥カビに分けられる。微生物以外にも寄生虫により発生するものもある。
1.病原細菌
(1)芽胞形成菌
①ウェルシュ菌、②ボツリヌス菌、③セレウス菌
(2)芽胞非形成菌
①腸炎ビブリオ、②黄色ブドウ球菌、③サルモネラ、④カンピロバクター・ジェジュニ/コリー、⑤病原大腸菌、⑥エルシニア・エンテロコリティカ、⑦ナグビブリオ、⑧リステリア・モノサイトゲネス、⑨その他食中毒菌
2.腐敗細菌
ミクロコッカス、バチルス、クロストリジウム、シュウドモナス、プロテウス、乳酸菌、酵母等
3.寄生虫(原虫含む)
4.ウイルス
5.その他の病原微生物
生物学的危害原因物質は、細菌、ウイルス、寄生虫及び真菌類などの微生物に起因するものを含んでおり、一般に食品施設に入る人や原料に関係している。それらの微生物の多くは食品の原料となる動植物が生育する環境に自然に存在している。大部分は調理により死滅または不活化され、また取扱いや保管の適切な手順(衛生、温度及び時間)により残存数を極小化することができる。
生物的危害原因物質の例
芽胞形成菌:ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、セレウス菌
芽胞非形成菌:ブルセラ属種、カンピロバクター属種、病原性大腸菌、リステリア・モノサイトゲネス、サルモネラ、赤痢菌、黄色ブドウ球菌、化膿連鎖球菌、コレラ、腸炎ビブリオ、ビブリオ・バルニフィカス、エルシニア・エンテロコリティカ
ウイルス
原虫と寄生虫
生物学的危害原因物質は、微生物(細菌、ウイルス、寄生虫及び真菌類)に起因するものであり、これらはたいてい製造工程の失敗に関係している(例えば、殺菌時の時間や温度が不十分なために残存した病原微生物) 生物学的危害原因物質は、微生物、ウイルス、寄生虫を含む。
記載されている病原菌の例(Annex4、Table1aより抜粋)
・セレウス菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌などの芽胞形成菌
・黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、カンピロバクターなど
物理的
危害原因
物質
物理的危害には食品中に通常は含まれない硬質異物による健康被害がある。
比較的良く見られる物理的危害の原因物質としては、食品中に含まれていた固形物を食品とともに喫食した際の物理的な作用により、消費者の歯牙の破損、口腔内の創傷、喉の閉塞等の健康被害をもたらすものがあげられる。そのような物質として金属片(機械器具の部品、従事者の貴金属・ボタン、注射針の破片等)、ガラス片(機械器具の部品、容器包装の破片、照明機器の破片等)、木片、硬質のプラスチック片等が掲げられる。
(以下はp26 表-Ⅱ-4より引用)
ガラス片、従事者由来の物品(宝石、筆記具等)、絶縁体、金属片(ボルト、ナット、スクリュー等)、そ属昆虫の死骸およびそれらの排泄物、木片、糸、より糸、ワイヤ、クリップ、注射針、散弾破片
食品中の硬質異物によって疾病や傷害が起こり得る。これらの物理的危害原因物質は食品業者を含む収穫から消費者の間のフードチェーンの多くのポイントで、汚染や規範の不徹底の結果として起こり得る。
物理的危害原因物質の例
・ガラス片、木片、石、金属、断熱材、骨、プラスチック、従業員の所持品
物理的危害原因物質は人体に対して危害を及ぼす、通常は食品中では見られない物質
(例 木片、ガラス片、金属片、骨片など)
物理的危害原因物質とは、疾病や傷害を引き起こす可能性のある食品中に含まれる異物である。
記載されている異物の例(Annex4、Table3より抜粋)
・ガラス片、木片、石、金属片、アスベスト(石綿)、骨、プラスチック、従業員の所持品
化学的
危害原因
物質
化学的危害は、生物に由来する化学的危害原因物質によるもの、人為的に添加される化学的危害原因物質によるもの、偶発的に混入する化学的危害原因物質によるものに大別される。
1.生物に由来する化学的危害原因物質
カビ毒、貝毒、きのこ毒、ふぐ毒、シガテラ毒、ヒスタミン等有害アミン、ソラニン等の植物毒
2.人為的に添加される化学的危害原因物質
保存料(二酸化イオウ、ソルビン酸)、強化剤(ナイアシン)、発色剤(亜硝酸)等の食品添加物(使用基準が規定されているもの)
3.偶発的に混入する化学的危害原因物質
農薬(殺虫剤、除草剤等)、動物用医薬品(抗菌性物質、成長ホルモン、駆虫剤等)、指定外添加物、重金属、施設内で使用される潤滑油、ペイント、洗剤、殺菌剤等
食品中の化学的な汚染物質は、自然にも起こり得るし、食品の加工工程で加えられることもある。高い濃度により健康被害を起こす化学物質は、食品由来の急性の中毒に関連しており、またより低い濃度の場合は慢性的な疾患の原因となり得る。
化学的危害原因物質の例
自然に存在する化学物質
・アレルゲン、マイコトキシン、scombrotoxin(ヒスタミンなど)、シグワトキシン、毒キノコ、貝毒
添加される化学物質
・PCBs、農薬(殺虫剤、抗生物質、成長ホルモンなど)、禁止物質、毒性の物質や化合物(鉛、カドミウム、水銀など)、食品添加物、ビタミン・ミネラル類、その他汚染物質(潤滑剤、洗剤、殺菌剤、塗料など)
包装材に由来する物質
・可塑剤、塩化ビニル、インク、接着剤、鉛、錫
化学的危害原因物質は、以下のようなものに由来する化学物質や分子を含む。
・自然に存在する植物や動物の毒(毒キノコなど)
・原料の生産や食品の加工時に意図的に加えられた物質。安全基準は確立されているが基準値を超えた場合は危険(亜硝酸ナトリウム、殺虫剤など)
・偶発的に混入するもの(洗浄剤など)
・特定の人に対する免疫反応を起こすもの(食物アレルゲン)
化学的危害原因物質は、偶発的に食品の加工中に汚染する場合がある。
(Annex4、Table2a-bより抜粋)
シガトキシン(シガテラ毒)、テトロドトキシン(ふぐ毒)、マイコトキシン(アフラトキシン、パツリン)キノコ毒、貝毒(PSP、DSP、NSP、ASP)
ピロリジジンアルカロイド、フィトヘマグルチニン、食物アレルゲン、PCB、禁止物質、有毒物質/水銀化合物(魚類や殺カビ剤処理した穀類)、小売店で使用するケミカル類(洗剤、殺菌剤など)
出典 HACCP:衛生管理計画の作成と実践 総論編(厚生省生活衛生局乳肉衛生課)(文献1) A Training Manual on Food Hygiene and the Hazard Analysis and Critical Control Point (HACCP) System(FAO:文献2) Food Safety Enhancement Program Manual(CFIA:文献3) Food Code 2013(FDA:文献4)